僕は昔から英米の本格的推理小説が好きでよく読んだものだが「心地よく秘密めいた場所」は1971年に発表されたエラリー・クイーン最後の作品である。
ちなみにエラリー・クイーンは同じ1905年ニューヨーク生まれの従兄弟であるリー及びダネイ両氏の合成ペンネームである。
よく書評では'50年代以降のエラリー・クイーンは衰えたと云われているが、読めば初期作品とは違った人間の内面というか性格や人生観(?)らしき部分に踏みこんだ作風に変化しているのだろうか!?
故に読者によっては鋭いキレ味を欠く作風にも感じられる!?
ストーリーは1962年のニューヨークで、イタリア移民から一代で世界的なコングロマリットを興し巨万の富を築いたニーノ・インポチュナはある日副社長兼監査役のウォーレス・ライアン・ホワイトを執務室に呼び出した。
そこでニーノはウォーレスに向かって「君は我が社の金を使い込みしているよ!動かぬ証拠があるけど、もし私の要求をかなえてくれればとりあえず不問に付すけど!?♡」と切り出した!
ウォーレスはその要求とは何かと言い返すがその要求とはウォーレスの娘ヴァージニアとの結婚を認めてくれというものだった!(;´Д`)
ちなみにニーノは63歳でヴァージニアは21歳っていう年の差婚!?(;´Д`)(@_@;)
もし拒否すれば告発され長い長い刑務所行きは免れずヴァージニアも犯罪者の娘っていう汚名が!!!!!
とにかくウォーレスは娘を説き伏せニーノの妻になってもらったが、結婚して5年経過せねば遺産相続などの権利は成立しないという「付帯条件」が課せられた!
ニーノいわく「そうしないと結婚したらすぐに逃げられてしまうからね!?」ということだった。
何せ自分の誕生日が1899年9月9日であるが故にやたらと9の数字にこだわるのが常で、自身のオフィスは東99丁目の9階建てビルディング(住居兼)を棟買いするというこだわりようだ。
そして1967年ニーノの末弟ジュリオがその住居兼オフィスで頃されたが、状況は次弟マルコの仕業にも視えるが進退窮まったと絶望したマルコは自殺(?)を遂げる!?(頃しにも視えるけど……)
そしてニーノまでもが頃されて、エラリーは若い妻とその若い秘書室長(米国では女性の仕事とされているが)を疑うが……
目次はすべて年月日になっていて最終章は「1967年12月9日」で、エラリーは「全て謎は解けた」と言わんばかりに犯人宅(?)へ単身乗り込む。
まあ後半あたりから手の込んだ怪しい手紙というか投書が警察本部に送られエラリーたちは振り回されるが、彼はそれが「動かぬ証拠」だと意気込むんだけど………果たして法廷で認められるかなというのが僕の感想だ。
まあ「真犯人」は「いきなりっていうか急に家にやって来て妙な話をして自分を犯人扱いするんで売り言葉に買い言葉みたいにやったと言ってしまったんです!真犯人ぢゃないんです!」って陳述されたら陪審員はどうするんだろう!?
それにしても初期作品では推理マシーンと化したエラリーは理詰めで犯人を追い詰めるんだが、何か人間味というか個人的悩みのようなものがチラホラ視える感じ!?
ちなみに今作の真犯人は読めば「ああコイツだったんだ?」と思える人物でしたよ!(^_^;)